2019/10/24 19:03/鷦鷯飛蝗

泣き濡れた森の骨を擽る

錆波の墓場

透明な毒の川

命を握り潰す音を

塵紙で誤魔化した

偽物の呵責を撫でる



怒りはただそこにあって

何をしろとも頼まず

誰を傷付けようともしない


照応するのは戸惑いであって

何をすれど宿らず

誰に許され得べくもない



枯れた鉄格子が

雨にぬらぬら光るのも

誰かの涙で濡れた心も

眩惑と韜晦が光るのであって

刃を割り穿つのは

届かない床の色

揺るがない朝の色


お前はもうじき戸を喰わねばならない

等閑に付された夜闇の拉ぎ手を

ずらす間に書き取れなかった哀の型紙に

結び付けるためと解けたものを謳わねばならない


歪み毀した彼岸の荒れ野

ぬかるまない床に鉄格子

窮めるもののない無聊は雨止みと

溶かして久しく名を欠いて壊す

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る