2019/10/16 18:08/鷦鷯飛蝗

輪転する世界と、その色について。

記憶は溶けてゆく。

さめざめと、

金木犀が泣いている。

しろがねの鱗がしゃりしゃり鳴って、

降り注ぐ凪に削がれていく。

分かち書きを諦められた符合の森、

繋がれた尊さを彼も諦めた。

ひしゃげてなんかなかった。

歪んで見える、

そのままのかたちが正しかった。

揺れ動く涙を破却するならその声まで細く。

薄れきった陽炎かぎろいの残り香を裂いて、

炙られにいこう。

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