その三、濁れる酒(大伴旅人)

験なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし

     うじうじと悩んでるなら濁り酒飲んでる方がよっぽどいいさ


なかなかに人とあらずは 酒壷に 成りにてしかも 酒に染みなむ

酒壺になって酒びたしになりたい 中途半端な人生なんて


この世にし楽しくあらば来む世には虫に鳥にも我れはなりなむ

    この世さえ楽しいのなら 来世では鳥とか虫になってもいいや


 古の七の賢(さか)しき人たちも欲(ほ)りせし物は酒にしあるらし

    七人の賢者が欲しがっていたものも酒だっていう話じゃないか


あな醜(みにく)賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似む

みっともな 賢いふりで酒飲まない奴よく見ればサルに似てるな

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