便りは潮騒の響きにのせて
飛鳥文化
第1話
土日はいつも夜の2時には起きる。
現在高校二年、小さい頃の習慣だから、つらいだとかそういう感情は無い、誰かに言われた訳ではないがいつの間にか手伝いを始めていた。
朝4時の出港には間に合うように船の準備をしないといけないのだ、冬の朝は特に堪える。
後一か月もすれば海が荒れ休漁が増える季節までの辛抱だ、そう考えて漁具を準備する11月中旬の朝。
明神航は白い息を吐きながら黙々と仕事をこなす。
「おい、今日は西の方に行くぞ」
父の秀幸から今日の漁場の指示が入る。
捕る魚種に特に差は出ないのだが同じ場所で漁をしていては資源が枯渇してしまう。なので場所をローテーションしながら漁をする。まぁ季節によってさまざまなのだが。
「わかったよ」
簡単に返事をすると、すでに船のエンジンは暖機がしてあり出発できる状態にしてあったので係留ロープを取り始めた。
「ほんとさみぃよなぁ」
一人ごちりながら係留ロープを取り終わると、船が岸壁を離れ始める。沖堤を超え船首の先に見えるまだ暗い大海原を見つめながらまた同じ一日が始まるのだった。
たまには面白いことがあってもいいのにな
同じことを繰り返していればそう思う日もあるものだ。
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