お題【夢】 夢活

 寝間着に着替え、今夜のコンテンツを選んでいたところで着信音が鳴った。旧友からだった。

『よう、久しぶり。何してた?』

「今夜の夢を選んでいるところだ」

『うちの会社は今週、ビジネス書を夢で見てレポートなんだよ』

「最近は夢で勉強するのが流行りらしいな」

『夢活ってやつ。ま、夢をコントロールできる時代でよかった。寝てる時間が無駄にならないからな』

「俺は夢の中くらい、のんびり過ごしたいけどな」

『ところでさ…』

 思い出話が始まった。


 目が覚める。

 亡くなった旧友と深夜までバカ話で盛り上がる夢を見た。夢でいいから逢いたい、という願いが、今の時代なら叶う。

 またな、と呟き俺は脳から端子を外す。

 涙の跡が一筋、ついていた。

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