第26話 ネネル・ラピストリアの日常

皆さんこんにちは。


ウルエスト王国を治めるラピストリア家の三女、


ネネル・ラピストリアです。


今はこのキトゥルセン王国のノーストリリア城にお世話になっています。


私の事や故郷の事はまたいずれお話ししたいと思います。


だって今からオスカーと2階のテラスで朝食ですから。


今日は久しぶりに二人きりで食事です。緊張して手が震えます。


テーブルにはパン、卵、スープ、芋、イチゴが並んで、


メイドが紅茶を入れてくれます。あ、じゃあミルクで。


オスカーといると胸が高鳴ると同時にきゅんと切なくなります。


これは何でしょう? 


カカラルの時、デモンに攫われた時、【腐王】の時、


3回も命を救われれば誰だってときめくはずですよね。


やだ私ったら誰に話しているのかしら、うふふ。


ともあれ、私はこの救われた恩を返したいとずっと考えています。


それが、このお城に居座り続ける理由でもあります。


あの時、胸も触られ何度も口づけされたと聞いてます。


それも皆の前で。


恥ずかしすぎるけど、う、嬉しいです。


何で覚えてないんでしょうか、もったいない。


目が合ってます。何か喋ってます、私も何か答えてます。


何も頭に入ってきません。変なこと言ってないでしょうか。


ああキャラ変したいです。素直になりたいです。


どうしてツンツンしちゃうんでしょう?


きっと幼少期の親の育て方が悪かったんです。


わがままに育てられた結果です。いけませんそんなこと言っては。


きっと寂しさからかまってちゃんになってしまったんです。


天邪鬼になってしまったんです。心の奥底に原因があるんだと思います。


私が悪いんです! すべて私が悪いんです!


うまく喋れません。本当はもっと喋れるんです。面白い事も言えるんです。


オスカー様と呼びたいです。


オスカーなんて呼び捨てで呼んでますが、


一国の統治者にそんなこといいんでしょうか?


冷静になるととても怖いです。


本当はオスカー様とへりくだりたい。……私Mなんでしょうか?


そんなに見ないで下さい。めっちゃ目が合ってます。


頭の中と胸の奥とお腹の下がぞわぞわします。恥ずかしいけど嬉しいです。


本当はベッドの中で全身をばたばた暴れさせて、枕に大声をだして


感情を爆発させたいとこですが、


上品に見せるため、澄ました顔を作ります。


にやけてしまいたいけど必死に我慢です。


可愛く見えてるでしょうか? 髪のセットに1時間かけましたから自信はあります。


オスカー様の子供が欲しいです。


あれ今すんごい思考がカットインしてきましたね。


何を考えているのでしょう私。


歯の隙間になにか挟まりました。


もう頭がぐちゃぐちゃです。もう、ぐちゃぐちゃにしてほしい!


何を言っているのでしょう私は。


声に出していませんよね?


そんなことより何でしょうか? スープの中に入っていた青野菜の繊維でしょうか?


これはまずいです。これでは笑えません。舌で取ろうにも取れません。


あまり思いっきりやると変な顔になってしまいます。


そんなところを見られたら嫌われてしまいます。


あ、オスカー様が景色を見ました。


今です! 舌をうまく使って……今振り向かれたら私死にます。


ここから飛び降ります。


でも多分羽ばたいて飛んでしまいます。


何を言っているのでしょう。私ってすごく頭悪いなと最近思います。


取れました。オスカー様が同時に振り向きました。間一髪です。


ああ、そのお顔……きらきらしてます。かっこいいです。


ぶっ倒れそうです。漏らしてしまいそうです。


誰か来ました、バルバレスですね。


てめー邪魔すんなやぶち殺すぞ! 


はっ! 怖い、自分が怖いです。


ただ毎朝の報告に来ているだけじゃないですか。


私の方が本来は邪魔者なんです。分かってます分かってます。


笑顔です笑顔、ほらこの角度が一番可愛い!


どうでしょうか見て下さい。


はーーー見てる! オスカー様が私を見てる!


恥ずかしいけど嬉しい。……私ってやばい人でしょうか?


ああ、行ってしまわれます。


何をお上品に笑っているの自分! 行ってしまう! 抱きつきたい……。


ああ、行ってしまった。


……なんだかすごく疲れました。



ラムレスが足湯で会議しています。


小評議会の数名と話しています。


国旗のデザイン?


国旗を変えるそうです。


赤と黄土色に雪と炎とカカラルと魔剣と盾とキトゥルセン家の家紋。


いいじゃないですか。かっこいいです。


近くにいる兵士も頷いています。


ほのぼのしてます。



病室にやってきました。


アーシュちゃんはだいぶ落ち着いたようです。


私は頻繁に身体を拭いてあげています。


何もしていないわけではありません。


それなりのお手伝いはしています。モルトさんには感謝されます。照れます。


アーシュちゃんの背中にはすごい傷があります。


とても痛そうで、毎回目を背けたくなります。


目は凄く綺麗なのに、虚無で、吸い込まれそうになってぞくっとします。


お顔も小顔で、手入れをすれば長く綺麗な髪で、美人さんです。


早く元気になってほしいです。


たまに本を読んであげます。聞いているかどうかは分かりません。


せめて、ここがどこだか分かるようになればいいです。


男性二人とはたまに喋ります。名前は聞いたんですが忘れてしまいました。


確かオスカーとオスカー……はっ!


若い男性はみんなオスカーに見えてしまうなんて病気です。


やっぱり私はヤバい人なんでしょうか?


二人にアーシュの世話してくれてありがとうと言われました。


感謝されました。嬉しいです。照れます。やりがいを感じます。


ちゃんと名前を覚えようと思いました。


負傷兵の包帯も変えてあげます。


皆目を合わせてくれません。腰を曲げたり、前かがみになってしまいます。


なんなのでしょうか。よく分かりませんが、兵士の人たちは寡黙です。


皆回復に向かっているようで何よりです。




お風呂に入っていたら医術師見習いのモリアちゃんが入ってきました。


セクシーです。見惚れちゃいます。もうムンムンって感じです。


モリアちゃんの胸と自分の胸を見比べます。


ため息が出ました。


悩み相談をしたところ、揉むと大きくなると教えてくれました。


人にやってもらわないとだめだそうです。モリアちゃんが揉んできました。


手つきがいやらし過ぎて変な気分になってきました。


笑われました。からかわれているようです。


本当のことを言うとお腹やら背中やらの肉を胸に持ってくるのだそうです。


やってもらいました。……痛いです。


でも確かにサイズアップしました。


これは凄い事を教えてもらいました。


やはりムンムンの人は違います。尊敬しようと思いました。



マイヤーに呼ばれて厨房にきました。二人でワインを飲みます。


毒味というとても大事なお仕事です。なので私も張り切ってしまいます。


そしてポテトというやつはけしからんです。指が止まりません。


トマトを甘く煮込んだケチャップというやつは人類最大の発明です。


マイヤーは生ハムを出してきました。ナイフで薄くそぎ落として


パンに乗せて一口。涙が出る美味しさです。


すかさずワインを口に含みます。笑いが止まりません。


マイヤーは笑いながらをお尻を触ってきます。


楽しいのでもうどうでもいいのです。


美人過ぎてなんでも許してしまいます。


太ももの内側を撫でながら耳を舐めてきた辺りで、変な空気になりました。


少し酔いが醒めました。


ロミとフミが業者を連れて帰ってきました。ふう、助かりました。


一気にうるさくなります。勝手に私の羽を広げて顔をこすり付けてきます。


流石にそれはやめて頂きたいです。


オスカーちゃんと仲いいそうじゃない。


男なんて上に乗っかりゃイチコロよ。


黙れです。


この丸っこい揚げ菓子も美味し過ぎます。サーターアン?アンギャー?


難しい名前のです。


話は私の色恋沙汰になりました。


あんたに足りないのは色気ね。


胸元開けてみなさいよ、もっと足出しなさいよ。


やーだー、えちえちで震える―、いやらしい!


押し倒しちゃいなさい!


マイヤーがいやらしい服持ってるから貸してもらいなさい!


オスカー様のベッドに裸で入ってればこっちのもんよ!


黙れです。


そんな食ったら太るよと腹を摘ままれました、痛いです。


マイヤー、酔ってます。


そこは違います。胸です。摘ままないで下さい。


この三人といると下品が移ります。


でも楽しいです。

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