第34話 災いを封印する。その3
「ねえねえ、ペリー。」
「何? ちいちゃん。」
「私たち! 災いを封印! 少年少女剣客隊! 災い2体を封印成功!」
「したのは、私のお父さんだけどね。」
「新しい瓦版だよ。」
楓が瓦版を持ってきたので、全員で見る。
「何々、警視庁が爆破消滅。謎のテロ組織の犯行か? なんですって!? 破壊したのは私たち、少年少女剣客隊よ! 自首しなくっちゃ!」
「やめろ。捕まる。」
楓が壁に顔写真を貼り出す。
「何をしている?」
「指名手配の写真を貼りだしてるの。」
「やめい! 罪もバレてないのに、自らアピールしてどうする!?」
「賞金首になっとるぞ!」
「懸賞金が出るの!?」
「どれどれ、ちいが100円、ペリーが50円、楓が10円、僕がプライスレス・・・プライスレスだと!? 僕の存在に価値は無いというのか!?」
「その通り!」
「どれどれ、実朝が1万円と、みんな大した金額じゃないな。」
「そうね。アッハハハハ・・・1万円!?」
「実朝くんの価値が1万円だというのか!?」
「1万円あれば、滞納している長屋の家賃が払える!」
「1万円あれば、新しい火縄銃が買える!」
「1万円あれば、お腹いっぱいのお米が食べれる!」
「1万円あれば、ご先祖様に立派なお供え物ができる!」
「みんな!? どうした!? 目つきが怖いよ!?」
「ここは仲良く1人2500円ずつで山分けよ。」
「仕方がない。その条件をのもう。」
「実朝くん、ご飯のために大人しく捕まってね。」
「これも少年少女剣客隊の手柄でござる。」
「嫌だ!? 助けて!? 殺される!?」
「やめなさい! 実朝君が嫌がっているじゃない!」
「桜先生!?」
子供たちが騒いでいると、桜先生が教室に現れた。
「先生は、いじめは許しません! 分かりましたか!」
「はい。」
「声が小さい! 分かったかと聞いているんです!」
「はい!」
「それでよろしい。さすがは私の生徒たちだわ。ニコニコ。」
「殺される。そう感じたのは私だけじゃないはず!?」
「怖い!? あれが教師という立場を使ったパワハラか!?」
「桜お姉ちゃん、カッコイイ!」
「ありがとう。楓。イエーイ!」
「さあ、実朝君。怖かったわね。もう大丈夫よ。」
「桜先生、ありがとうございます。」
「先生が一緒に警察までついていってあげよう。」
「はい・・・ええー!?」
「先生も実朝の懸賞金が目的なのね!?」
「違うわよ!? 私は実朝君を人道的に保護しようとしているだけよ!」
「最低! 生徒よりお金が大切なんですか!?」
「私は、ただ1万円あれば、楓に美味しいご飯を食べさせてあげられると思っただけなの。」
「桜お姉ちゃん! ありがとう!」
「楓! 楓は、お姉ちゃんのことを分かってくれるのね!」
「うん。二人で警察に届けるから、一人5000円ずつだね。」
「それで手をうとう! キャッハッハ!」
「似た者姉妹め!?」
「やはり、この物語で1番怖いのは、ご先祖様でもなく、桜先生だ!?」
「それでは、みなさん、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
子供たちは寺子屋から帰って行った。
「ついに桜先生は、流行を教えたり、課題を示したりしなくなっちゃった。」
「教師っていいわね。私も将来の夢は、シスターをやめて、女教師になろうかしら。」
「そうね。桜先生でもなれるんだから、私たちでもなれるわ。」
「教師になる動機が、私たちは不純な気がする。」
「それにしても楓と実朝が警察に行っていないと、少年少女剣客隊も静かね。」
「おい!? 僕がいるではないか!? 徳川第16代将軍、徳川家々でござるぞ!」
「本当に静かね。」
「無視するな!?」
「あ、いたの?」
「ずっといましたよ!」
「あんたも何か個性がないの? 個性が無いと存在感が無いキャラクターになっちゃうぞ。」
「もうなってるでござる。フア~。」
「良かったね。」
「良くない!?」
「ちいはお兄さんを呼んで頂戴。」
「はい。」
「家々も、ご先祖様を呼んで頂戴。」
「なぜでござるか?」
「もう取れ高OKが出たのよ。」
「そういうことでござるか。納得でござる。」
「ちいの兄のライです。」
「徳川15将軍の一人、第3代将軍、徳川家光だ。」
ライと家光が呼ばれた。
「お兄ちゃん、あの幽霊を斬って。」
「承知。」
「必殺! 海火雷斬!」
「ギャアアア!? 何もしゃべってないのに斬られた!?」
こうして徳川家光は、封印されずに成仏した。
「少年少女剣客隊は、永遠に不滅です!」
「この展開であれば、いくらでも続くわ。」
「ご先祖様のお墓も作らねば。」
今日という一日も無事に終わっていく。
つづく。
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