第17話 15の災い。その1

「ねえねえ、ペリー。」

「なに? ちいちゃん。」

「何だか最近、寺子屋に来る子供が減ったと思わない?」

「そうね。どこの家庭もお金を稼ぐのに忙しいからね。」

「楓の家はお金持ちだけど、お腹は空いてるよ。」

「楓ちゃんは、エネルギー消費が激しいからね。」

「情けない。おまえたちは何も知らないのでござるな。今、街では神隠しが流行っているでござる。寺子屋の子供たちも消えてしまったでござるよ。」

「そうなんだ、知らなかった。でも、家々に言われると、なんかムカつく。殺す。」

「そうよ。家々のクセに生意気よ。大砲をぶち込むわよ。」

「楓のおにぎりが無くなったのも、神隠しの性では!?」

「それは楓ちゃんが食べたからです。」

「あ、そっか。エヘヘヘへッ。」

「どいつもこいつも子供でござるな。もっと僕を見習って大人になってもらいたいものでござる。」

「どこのどいつが大人だ? 教えてもらおうか? おまえら! 席に着け。」

 子供たちが騒いでいると、桜先生が教室にやって来た。

「最近、神隠しが流行っているから、寄り道しないでお家に帰るように。それでは、さようなら。」

「桜先生、さようなら。」

 子供たちは教室から去って行く。

「桜先生。」

「どうしたの? 家々くん。」

「桜先生に言われた通り、ご先祖様に悪い事をするように言っておきました。」

「良くできました。これで家々くんも成績アップね。」

「やったー! 桜先生に褒められた。さようなら。桜先生。」

「家々くん、気をつけて帰るのよ。」

 家々は、笑顔で寺子屋を後にする。家々を陰から操る桜先生は、影の黒幕であった。


「神隠しだと!? 捜査はどうなっている!?」

「まだ進んでいません。」

「申し訳ありません。」

「バカ者! それでも特命か!? なんのための特別命霊警察なんだ!?」

 刑事部長の怒りが、特命警察第1小隊の隊長の平将門と、特命警察第2小隊の隊長の源頼朝に向けられる。

「どうやらおかしなことが起こり始めているようだな。」

「確かに異様な空気が江戸の空を取り巻いている。もっと悪い事が起こらなければいいのだが。」

 世の中の変化を敏感に感じている平将門と源頼朝であった。

「こっちは隊の人数が揃ったが、そっちはどうだ?」

「まったくだ。私の長男と、おまえの弟子の二人しかいない。」

「まあ、人数が多いだけよりも、バカ弟子の一人の方が、よっぽど役に立つだろう。」

「そうだな。蛍と頼家は、よくやってくれている。あとは人数だけだ。」

 源頼朝の特命警察第2小隊は、極度の隊員不足であった。


「少年少女剣客隊! 集合!」

「おお!」

 ちい、ペリー、楓、実朝、家々の少年少女剣客隊の隊員5人が集合する。

「今、話題の子供たちがいなくなるという神隠し事件。この事件を私たちで解決しましょうよ。」

「ついにきた。少年少女剣客隊としての、初めてのまともな事件だ。」

「なんだか物語っぽくなってきたね。」

「普通は、この展開が第2話だろう。」

「これが桜先生とご先祖様の言っていた、事件発生の効果か!? すごい!? 予想通りの展開だ!?」

「お兄ちゃんの警察が神隠し事件を解決する前に、私たちで神隠し事件を解決してしまおう!」

「目標は、目指せ! 警視総監賞よ!」

「私たちは特殊攻撃ができるけど、実朝くんは大丈夫?」

「父上に教わった剣術があるから、心配しないで。大丈夫だよ。」

「徳川家自作自演の神隠しを僕が事件解決すれば、徳川家のお家再興も道が見えてくるというものだ! ワッハッハー!」 

 能天気な家々であった。


「第1の災い。神隠し。怨霊となった徳川15将軍の恐ろしさ、存分に味合わせてやるぞ! ワッハッハー!」

 やはり神隠しは、徳川のご先祖様たちの仕業であった。

「カワイイ末裔の家々の頼み事だ! 英知を結集して、15の災いをもたらそうでわないか! ワッハッハー!」

 怨霊となった徳川15将軍の活動が活発になる。

「第8将軍! 徳川吉宗!」

「はい! 家康様!」

「神隠しの次は、人殺しだ。」

 桜先生に脅された家々の願いで、怨霊に化した徳川15将軍は怨霊となり、江戸の街に災いをもたらす。

 つづく。

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