第2話 : パパラッチ ( 5 )




「 参考までに、あなたの、お名前、聞かせて頂けるかしら?」


 少女が優しく微笑み問いかける。 だが、それがムシろ、彼女の殺気をサラに強く感じさせた。


「 たっ… 狸山タヌヤマでやんす。 ケチな野郎でやんす!!」


 恐怖で震え上がりながら、精一杯に答える。


「 まあ… えらく、人を喰った名前ね …」


 彼の先程までの余裕は全く消し飛んでしまった。


「へっへい …


 アッシら魔障マノサワリは、そもそも名前なんて言う物を持ち合わせちゃぁいやせん。


 人間が勝手に名付けるか、手前の方で名乗るか…


 いずれにせよ、姉さんにおきましては、どうぞ今後とも、ごひいきに …」


 緊張でノドカワく。 舌までも、上顎ウワアゴ上手くシャベる事が出来ない。


「ごひいきにだなんて …


 勘違いなさらないで …


 次に会う機会が有るのなら、その時は、あなたの首と胴が別々に離れてしまうのよ 」



 彼女の警告を聞くが早いか、彼は後ろ向きにトンボを切ると『ドロン!!』煙と共にへと姿を変え、一目散に地下の狭い側溝ソッコウへと逃げ込んで行った。



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