限られた時間

 前回、愛犬の話を書いている時、次は愛兎の話を書こうと決めていた。


 我が家には犬よりも先にうさぎがいた。


数ヶ月前までは元気で、彼女のそれほど老いを感じさせないハツラツとした姿を書きたいと思っていた。


結論から言えば、彼女はお空に逝ってしまった。


病院でも診てもらった。

しかし、治してあげることはできなかった。


約7歳と半年だった。

ほぼ平均寿命ではあるが、それで気持ちの整理がつくはずもなかった。


いまだに泣いてしまうことがある。


うちにきて幸せだったろうか。


会いたいと思う。

涙が出る。


この先も私は泣くんだろう。


亡くなる直前、彼女の目は、この世界の何よりも輝いた。

今まで、見たこともない美しさだった。


悲しみも、その美しさの記憶も全て抱えて私は生きる。


彼女と同じ輝きが、美しさが、


私の中にも秘められているのだろう。


なぜなら、私の時間も有限だからだ。


明日がある保証などない。

だけど私は生きていきたい。


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