くるみ

 今日はポカポカと暖かな晴れの日だった。


こんな日こそ歩いて買い物へ行こうと意気込み、見慣れた町並みを歩いていた時だ。


カラスがスピードを落とし、低空飛行しているのが目に止まった。


妙な動きをしているように感じた。


カラスは何度かゆっくりと低空飛行し、何かを落としていた。


その度に「カツン」と乾いた音がする。


くるみを割ろうとしているのだろうと思った。

しかし反対側の歩道に落ちたであろう、そのくるみは小さすぎて確認出来ない。


その、カラスの行動は人みたいに見えた。


こういう時、いつも思うのだ。


動物も人間も同じだなと。


カラスだって頑張って生きてるんだなと実感する。



帰り道は来た時とは反対の歩道を歩く。


くるみが落ちていた。


やはり、と思う。


くるみは頑なに蓋を閉じたまま、アスファルトに落ちていた。


まるで鍵でもかかってるみたいに。



辺りを見渡したが、カラスはどこにもいなかった。



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