珈琲の飲める場所

 カフェが好きだ。


大手チェーン店のカフェも好きだし、個人経営のカフェも、それぞれに個性があって好きだ。


最近は、どこの街に行ってもカフェを見つけるのは、そんなに難しくない。


ふとした疑問がある。


喫茶店とカフェってどう違うのかということだ。

別に違いを明確にしなくてもよいのだが、少し前から抱いていた疑問ではあった。


私には気になっていた喫茶店があった。


函館市内の昔からあるらしい佇まいの喫茶店だ。


いつか入ってみようと思ってはいたが、なかなか入る機会がなかったのだ。


しかし先日、娘とふたりで、ついにその喫茶店に入ることができた。


店内はタイムスリップしたみたいにレトロで、まるでジブリの物語の中に出てきそうな洋風の装飾が施されていた。


私は感動した。


こんな素晴らしい空間があったなら、もっと早くに入っていれば良かったとさえ思った。


そのレトロな空間にインベーダーゲームというのだろうか、それが1台だけあるのも何だかよかった。


レトロな空間に、程よいスパイスを加えたみたいに見えた。

おそらく、その機械はもう動かないだろう。


しかし、その存在は主張しすぎることなく空間に馴染んでいた。


店主は70代後半くらいの男性だった。


店の奥にひっそりとしたカウンターがあり、そこでコーヒーを入れているのだろう。


私たちはホットケーキセットを頼んだ。


ホットケーキとコーヒーがセットになったものだ。

ちゃんとメープルシロップも一緒だ。


バターが乗せられたホットケーキはふわっとしていて、とても美味しかった。


コーヒーを飲みながら窓の外を眺めると、別の世界から普段の見慣れた景色を眺めているような、不思議な気分になった。


私たちは勘定を済ませ店を出た。


きっと、またふたりで訪れるだろう。

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