8.身体
この身体で良かったと思えることなど何一つなかったのに どうして良い方に捉えられるだろう
このお蔭で苦しんだのに この為に辛い思いをしたのに どうしてそれを「気にしないでいい」と一蹴できるのだろう
唯一の味方にそんなことを言われてしまったら 本当にそうなのではないかと思いそうになってしまうではないか
でも「気にしないでいいこと」などやっぱり何一つなかった それをどうして・・・
とどのつまり「気にしないでいい」その身体であるから そんな酷薄なことが言えるのだ
まるで立つ瀬がない もうひとつ命を宿せるとしても まずこの身体は選ばない
あれだけの苦しみを あれだけの辛さを この身体は味わってきた
隠し続けるしかないのは 大人になっても変わらない
手がない訳ではない 足がない訳ではない 同情の余地など皆無である
手があるから 足があるから こうして論える 「同情」という言葉を盾に使おうとする
それが間違っているのであれば この身体であることを「気にしないでいい」と一蹴することも絶対に間違っている
同じ身体など誰も持ちえない それが素晴らしいことであるとは到底思えない
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