第55話 レベル上昇

 最近では、エシルとレイが仲良くしていた。


 それは依頼を受けたことがきっかけではあったが、それ以上にこのギルドが少しおかしくなったことが原因でもあった。


 というのも、エクスがレベルさえ高ければ圧倒することができるとわかってから、『経験値増加』を持った人がスキルを軽視してレベル上げに集中してしまったからだ。


 今までは、エクス以外の全員がレイにスキルの取り方やどのスキルが良いかなどを聞いたり、レイに頼る場面がそれなりにあった。レイも頼られることには悪い気はしてなく、いろんなことを教えていた。また、頼られるということはエクスよりも優れていることが実感できたため、かなり満足していた。


 みんな最初はレイに勝ったエクスに頼ろうとしていたが、エクスの場合はレベルを上げることがメインになってしまっているため、どうやったら効率よくレベルが上がるかしかなく、正直つまらないというのがほとんどの人の感想であった。


 レイはエクスのことになるとおかしいだけで、それ以外の時は常識もあり、いろんな依頼を達成しているため頼りになっているのだ。


 しかし、エクスがレベルだけでレイのランクに近づいていることが大きかった。模擬戦では勝っていてもランクのシステム的に『経験値増加』を持っていることは不利なため、全員レベル上げよりもスキルを取ることを優先していたのだ。


 さらに一般的な人のスキルの習得の早さなどを目の当たりにしていしまい、余計自分たちがどれだけスキル習得が難しいかを実感してしまい、だんだんとスキルを積極的に取ろうと考える人が減っていた。


 そのため、このギルドというのは少しレイとっては居づらい場所になっていた。


 そんな中、エシルだけはレイに頼っていた。このギルドにおいて、スキルで参考になる人がほぼいないため、エシルは消去法でレイに頼っていたのが本音ではあったのだが、何かと意気投合することがあったのか、いつの間にか仲良くなっていたのだ。


 それにレイがエクスを軽視していないことなどがわかるとエシルの態度はかなり柔らかくなり、すぐに打ち解けていたりもした。

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