第7話 ギルド 1

 王都に着いた僕は早速ギルドに来ていた。


 そこで僕は案の定つまづいていた。


「ですから、スキルを持っている人は登録することはできないんです!」


「そんなこと言わないで、お願いします!」


 僕はギルドの受付の女性に頭を下げて頼み込んでいた。


 簡単に登録できると思っていた僕はこんなことになるとは思っていなかった。


 それにもし登録できなければ、実家に帰らなければならない。それだけはなんとしても避けたかった僕は必死に頼み込んでいた。


「なんと言われようとも無理ものは無理なんです!」


「そこをなんとかお願いします」


 僕たちはこんな会話をかれこれ1時間弱続けていた。


 周りにいる人は呆れていた。最初は物珍しさにこちらを気にしている人もいたが、今では迷惑そうにこちらを見る者や完全に無視している者などこちらを不快に思う者しかいなくなっていた。


 そのことは僕のことを対応してくれている方も理解しているようでここで今までとは違う言葉をかけてきた。


「わかりました——」


「本当ですか?!登録してくれるんですか!?」


 僕は「わかりました」の言葉を承認したと受け取り、そう先走っていた。


「いえ、登録することはできません」


「なんでですか?!」


「それは規則だからと先ほどが言っている通りです!」


「じゃあ、なんでわかりましたって言ったんですか?!」


「それは、登録することはできませんが違うギルドを紹介することはできるので、それで今日のところは帰ってください」


 それは僕にとってはありがたいことだった。ギルドはここの1つしかないと思っていたため、違うギルドがあるというのは思ってもみなかったことだった。


「ギルドってここだけじゃなかったんですか?」


「はい、他にもいくつかありま——って最後まで話を聞いてください!」


 僕はギルドの受付の方が話している途中ですぐに他のギルドを探しに行こうとしたら、止められてしまった。


「今度はなんですか?」


「なんですか、じゃありません!さっきまでしつこく絡んできてたのに、そんなあっさり引き下がらないでください!言わなければならないことがあるんですから!」


「それはなんですか?」


 僕は嫌そうにそう聞いた。


「他のギルドに行ってもスキルを持ってないあなたは登録はできませんよ?」


「え?どういうことですか?!僕は結局ギルドに登録できないんですか?!」


「だから最後まで話を聞いてください!!」


「はい、すみません」


 僕はさっきまでとは別人と思うほどきつい口調で言われてしまい、反射的に謝った。そして謝ったことで、僕はようやく冷静になることができた。


「はあ、それでですね。基本ギルドにはスキルを持ってないあなたは登録することはできません。ただ、とあるギルドは逆に『経験値増加』を持つ人を積極的に雇用してるんです」


「本当ですか?!」


「はい、ですのでここにあるギルドへ行ってください」


 そう言われて僕は簡易的な地図のメモを貰った。


 ただ、来たばかりだったため、地図を渡されても全く理解することができなかった。


「あのぉ、この場所ってどこですか?」


 そう聞くとギルドの受付の方は呆れたような顔をしながらも丁寧にその場所を教えてくれた。

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