人を惑わす男・洋館の男

森のおく 暗い夜道 歩く人影

黒のマントを翻し

髪と目が月明かりに照らされ黒く輝く

微かに笑んだ口元が唄を紡ぎ出す


彼と出会った娘は皆

その唄の唯美さに心奪われる

彼と出会った娘は皆

彼の美貌の虜になる

彼と出会った娘は皆

妖しげな魔術の口付けで

もう二度と戻って来れなくなる

どことない恐怖を心の奥底に感じながら


知らない 誰も知らない

なぜ彼が森で唄を紡ぎ

娘を虜にするのか


あなたと出会ったのは

ある森の洋館

森に迷い込んだ私に

微笑んで手を差し出した


上質な紅茶のフレーバーと

甘ったるいシュガーに包まれる中

あなたは言ったの


ずっと一人でこの屋敷に住んでいるんだ

滅多に人なんて来ないから寂しかった

君が来てくれて嬉しいよ


窓の外にはたくさんの花が咲き誇る綺麗な庭

それをぼんやりと見つめるあなたに恋をしたわ

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