DICIANNOVE
「ロイー フルーツ使いたいんだけど、何がある〜?」
今日はリズとアイオスとシャーロットを我が家のお茶会にお招きしたから、朝から仕込み開始よ。
「おや、ぼっちゃん。 今日は何を作るので?」
「ん〜〜… そうね、何か夏っぽいものを作ろうと思ってるのよねぇ」
「そりゃまたなんとも抽象的で… えーと、今あるフルーツは… ベリー類と〜… リンゴにキウイ、あとバナナがありますね」
ふむふむ… それじゃあアレ作ろうかしらね。
「じゃあそれでいいわ。 そのフルーツと白ワイン、それから蜂蜜とレモン。 あ、あとバニラジェラード作っておかないと。」
ロイからフルーツを受け取り、それを全部2cm角に切っておき、白ワイン(念のため熱を通してアルコールを飛ばしてあるわよ。 一応未成年だからね!)と蜂蜜とレモンでシロップを作ってフルーツと合わせて冷蔵庫で馴染ませると、フルーツポンチもどきのイタリアンスイーツ『マチェドニア』の完成よっ。
なんだかんだと準備をしている間にお茶会の時間が近づいてきた。 この国の王都は内陸の少し標高の高い場所にあって、夏といえど湿気は少なく木陰ならとてもきもちいいのよ。 今日は天気もいいし、庭のガゼボはどうかしら? うん、いいんじゃなーい?
ジョージを呼んでガゼボにお茶会の準備をするように伝えると、頷いたジョージはそのままムーンウォークで下がって行った。 だからアンタはマイコーなの?!
そのままジョージが屋敷に入るのを見守っていると、右手を股間に、左手にトレーを持ち、顔半分が隠れるようにジョジョ立ちしやがったわ。
「ポゥ!」
「!!?」
**********
「おーっす。ひさしぶりー」
「お兄様、言い方…! エド様お招きいただいてありがとうございます。 本日は久しぶりにエド様のスイーツが食べられると楽しみにしておりましたのよ。 お兄様もわかりやすく今朝から機嫌が良くて」
アイオスの脇腹を軽く小突き諌めた後、綺麗なカーテシーで挨拶をするシャーロット。 うーん流石この兄に苦労してる妹だわ。
「アイオスはともかく、シャーロット嬢が楽しみにしててくれたなんて光栄だわぁ。 今日はね、夏らしい見た目にも涼しいスイーツを用意したから楽しみにしててね。 リズももうすぐ来ると思うし、座って待ってましょうか。」
アイオスとシャーロットを伴って、庭園の奥にある白いガゼボにやってきた。 そういえば2人がこのガゼボに案内したのは初めてだったわね。 シャーロットが「まあ!」って言いながらキョロキョロしてるわ。 ふふ、気に入ってくれたみたいね。 流石はお母様肝いりで作っただけあるわー。庭師もいい仕事したわね。
しばらく3人で紅茶を楽しんでいると、ウイリアムがリズの来訪を告げにきた。 ジョージに言ってここに案内するように伝え、やってきたリズは俯いて明らかに元気がなかった。
「いらっしゃい、リズ。 どうしたの? 元気ないわね。」
「え… そう…かしら。」
片手を頬に当てて小首を傾げるポーズは非常に可愛らしいのだけど、無理してるのが丸わかりよっ。 何年リズを見てきてると思ってるのよ。 なめんじゃないわよっ。 とはいえリズって割と頑固だから、素直に言いそうにはないのよねぇ。 うーん、どうしようかしら…
ワタシが悩んでいると、アイオスが空気をぶち壊した。 さすがアイオスね(褒めてないわよ)
「なーなー。 揃ったんだから早く始めようぜ! で、新しいスイーツ作ったんだろ? 早く出そうぜ!」
「はぁ〜、もうしょうがないわね。 今日のスイーツはこれよ『マチェドニア』って言うの。」
アイオスはともかく… リズが気になるってことで、マチェドニアを乗せたスプーンをリズの口元に差し出し、おもむろにリズの口に突っ込んだわ。 は? 貴族の子息としてありえないって? いいのよっ! ワタシとリズの仲なんだから!
口に突っ込まれたマチェドニアを、リズは俯き加減に咀嚼していたけど、しばらくすると俯いたまま身動きしなくなってしまった。
.....ひくっ
(ん?)
…ひっ… ふう…うん…
(んんんっ?)
ヤダわ、何処からかしゃっくりの音が。 まさかと思うけど、アルコール飛ばした白ワインで誰か酔った.....
....ってリズ!? アンタかーーいっ!
頬をほんのり赤くして、潤んだ瞳を半眼にしてじーっとワタシを見るリズ… やだ、コレちょっとクルものがあるわね… つられてワタシまで顔が赤くなるじゃないっ。
「ねえ… わらくしって、ずるいんふの…?」
なんだか変なこと言い始めたわ… ずるい?
「ずるいって、リズが? なんでそうおもったのかしら?」
「らって… ありしゃがずるいって… ずるいって言ったんれすわ…」
アリサって、あの後妻の連れてきた異母妹の事よね。 また余計な事言ってくれたのね…あのお馬鹿は…
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