翼をください(短編)
雨世界
1 ……おはよう。よく眠れた?
翼をください
登場人物
鷹羽巴 ともえ
白鳥夢 ゆめ
不思議な二人の大人の女性
本編
……おはよう。よく眠れた?
気がつくと、鷹羽巴は見知らぬ電車の中にいた。
「おはよう。よく眠れた?」
「え?」
急に声をかけられて、巴は自分に声をかけた人物を電車の中に探した。すると、自分の座っていた席の隣に、一人の見知らぬ自分と同い年くらいの高校の制服をきた少女がいた。
清楚な顔立ちをした、とても美しい少女だ。
巴と目があって、その少女はにっこりと笑った。
「あ」
巴ははっとなって、少しだけ身を引こうとした。
巴は思わず、その少女の美しい顔に見とれてしまっていたのだ。
でも、巴の行動は少女の手の動きによって遮られてしまった。少女の手が巴の手をぎゅっと握っている。
巴はつながっている二人の手を見て、私たちはいつの間に手を握っていたのだろうか? と考えてみた。
手を握ったのはさっきだろうか?
いや、違う。
もっと前から、私たちの手はつながっていたと思う。
きっと私が、眠っていたときから、この少女は私の手を握っていたのだ。そう巴は思った。
「ごめんなさい」
巴はそう言って、少女とつないでいた手を離した。
巴の手は、無意識に少女の手をぎゅっと、本当にしっかりと握り返していた。
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