第18話 牛丼を食べよう

僕は城下町に入る前に一旦考えた。

以前のように戦闘になったら武器が必要だ。

ミカちゃんやテラちゃん、アリスさんは魔法や能力がある、しかし僕には何も無い。

水なんかも補充したいし、一度向こうの世界に戻ろう。


僕はカプセルを取り出すと、みんなに「ちょっと僕の家に忘れ物をしたので取りに帰ってもいいですかね。」と訊いた。


ミカちゃんは「やったー!クッキーが食べれる。」と喜んだ。はいはい…買いますよ。


アリスさんとテラちゃんも了承してくれた。

カプセルを耳に当てて僕達は僕の部屋に移動した。


アリスさんは「ここは…?」と不思議そうに辺りを見渡した。僕は押し入れから護身用に買った金属バットを取り出す。「これで良し。せっかく来てもらったから、ミカちゃんのクッキーを買うついでに牛丼でも食べに行きましょうか?僕、奢おごりますよ。」そしてみんなで街に繰り出した。アリスさんも初めての異世界に驚いていた。


僕は新しいシャツ、水やクッキーを買ってから、僕の行きつけの牛丼屋さんに行き、四人並んで牛丼を食べた。ミカちゃんは牛丼の存在を知っていたようだったがアリスさんとテラちゃんはビックリしていた。三人ともお昼ご飯を食べて元気が出たようだった。


準備が出来た僕達はミカちゃんにさっき僕達がいたエルドラ王国の城下町をイメージしてもらい、カプセルで元の場所に戻ることが出来た。


いよいよ城下町に入る。何か情報は得られるだろうか?


その時、エルドラ王宮の塔から純達四人が城下町に入るのを見ていた人影があるのを純達は知らなかった。


僕はニット帽を脱いだ。何故ならここは日本のように黒髪の人ばかりで僕が目立たないというのが分かったからだ。クレアさんが間違うのも無理はなかった。


僕はまた旅行者を装って街の人にエルドラ王国のことを訊いてみた。


最近は静かな毎日だったが、ここ三日ほど兵士の動きが活発でまるで戦いに備えているのだろうかと街では噂になっているということだった。

エルドラ王国の国王はグランアンジェの女王様とは真逆で普段は決して姿を見せず、国民とは軍や大臣を通じてその意志を示す王様らしい。

謁見してもらえない僕達がエルドラのことを探るのは至難の業であるのは間違い無かった。


城下町にアリスさんが宿をとって下さった。

僕はアリスさんと相談した。

「王宮に乗りこむにはどうしたらいいでしょうね。」「私が変化の術で女兵士になって潜入してみます。純さん達はここで待機して下さい。」

「ウチも変化の術使えるで。ウチも行くわ。

おい、ヘナチョコ。ウチのいーひん間に純にエッチなことしたらアカンで。」

ミカちゃんは「ベー」と舌を出した。ははは…

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