・・
「わざわざ遠いところまでご足労、ほんとにありがとうございました。どうでしょう、園内一回りなさいますか?」
「はい、ぜ」「結構です。帰りが遅くなりますので」
湖の言葉を遮った白子に、
「そうですよね、勝手なことを申しました。すみません」
と木立は申し訳なさそうに謝った。そして、出雲大社のことを探すが、いないとわかると眉を八の字に下げた。
「いやいや、謝らないでください。私も白子さんも動物園の中を見たいんですが、その間にまた動物たちがさらわれるとも分かりませんし、そういうことなんです、はい」
湖は慌てて白子の言ったことばをかきけした。
木立は自分の動物園を紹介してくれようとしてくれたわけで、遠くからやってきたことに対してのお礼だったわけだ。それを白子はわかっていない。もともと動物なんだから仕方のないことだ。
「そうですね、こうしている間にも動物がいなくなるかもしれないですしね、それでは事務所の方へ。事務所の入り口はすぐなのでこちらから」
湖たちは、爬虫類館と屋内休憩所の間を抜い、動物慰霊碑の前で一度頭を下げ、今度は左手にレッサーパンダを見ながら来た道を戻った。
平日にも関わらず家族連れが目立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます