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部屋の中は一言、広い。
天井は高く空気もいい。ほんのりミントの香りも漂っていて、地下空間なのになぜか心地よかった。
二十畳くらいはあるだろう空間が目の前に広がっていて、中央にはダークブラウンの木でできた丸いテーブルが置かれている。その上には数匹の猫が丸くなっていた。
テーブルには椅子が二脚だけ置かれていて、部屋の回りは真っ白いカーテンだか布だかでぐるりと囲われている。広い部屋なのに閑散としていた。
壁には猫の絵がいくつも掲げられていて、一目で猫好きなんだなっていうのが読み取れた。それにしても、なんていうかこう不細工な猫の絵しか置いていない。
「とりあえずそこ座ってて。コテツがいたら無理だけど」
「こたつ?」
椅子を引くと、微かに重い。
ヴニャアアア…… と、不細工に鳴いた。椅子の上には丸々と太った白猫が乗っかっていた。
「いるね。じゃ、その向かいのとこにでも座ってて」
顎でしゃくられた椅子をおそるおそる引くと、よかった、誰もいない。
「コタツってこの子の名前なんですか? なんか、その、あれですね」
「あれ、耳も悪い? コタツじゃなくて、コテツね」
「耳も悪いって言いました? 今耳もって言いませんでした?」
うっすらバカにされた気がするのは気のせいだろうか。できればそうと思いたい。と湖は己の思考を一端否定した。
「あれ、おかしいなこれ。なんだ。え、なに、できないどうやんの?」
奥の方からとりあえず困っている声が聞こえる。食器をガチャガチャやっている音も聞こえてきた。
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