虚をつかれ
『 不意にきたこむらがえりに虚をつかれ』
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つるような痛みに目が覚めた。
まだ辺りは暗い。
ふくらはぎが硬直している。
泣きそうな気持ちで、とにかくゆっくり息を吐きながら、つま先まで突っ張った足を抱えこむようにして、ふくらはぎを少しずつ揉みほぐしていく。
脂汗が流れるが、徐々に筋肉の緊張も
ほんの短い時間のはずなのに、この不意打ちにはいつも疲弊する。
痛みで身が硬直すると同時に心細さが募る。
それでも自分で考え、何とかするしかない。
とりあえずでも、やり過ごしながらいくしかない日々と同じに。
悪いことばかりではない。
困難は人に考える意味を教え、乗り越えるための力を湧かせる。
痛みがなければ、痛くないことの有り難さには気づけなかっただろう。
幸せを追い求めるのも一つの形なら、
幸せに気づくことも大切なことだと思うから。
やっと柔らかくなったふくらはぎをさすりながら、そんなことを考える。
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