俯く傘
『雨に濡れ
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両手に持ったスーパー袋が掌に食い込む。
天気予報では晴れマークだったのに突然の雨。
幸い折りたたみ傘のお陰で濡れることは免れたものの、こんな時に限って買い込んだ食料品はずっしりと重い。
傘を肩で担ぐようにして顎で押さえる。
わたしは車を持っていないので、この状況は慣れているはずなのに何だか今日は
明日が月曜日のせいか、雨足が予想以上に激しくなってきたせいか・・・。
それとも追い越していった仲良さげな二人連れのせいか。
大きな荷物を軽々と持つ彼に傘をさしかけながら微笑む彼女。
ありふれた情景は、わたしの手からずいぶん前にすり抜けていったものだ。
突風が吹いて
傘なんていらない。
はじめから持ってなんてなかった。
言い聞かせながら、降り止みそうにない雨の中を踏みしめるように歩く。
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