第27話 軽キャンクラブ
俺達が、セガル王国にきて数週間がすぎ、その間に、ミロースの子供達である、ドラゴンを殺した。
王を失った、この国であるが、ゼノス王国に俺が魔導通信で派遣を頼んでいた、治安維持軍とノガーミ商会の協力もあり、混乱等はみられないようだ。
庶民にとって、支配者が誰であれ、治安がよく経済が回れば、特に不満も無い。
周辺支配地域や領土の貴族階級の方は、地位の保証やノガーミ商会の資金援助等が功を奏し、今のところ不穏な動きはみられない。
むしろ、今後の事を考えた貴族連中が、我先にと、協力や国の改革に名乗りをあげて、俺達や治安維持軍の高官に対しての売り込み合戦が凄い。
出世のチャンスを掴もうと必死なのは解る、だが、めんどくさいので、治安維持軍に丸投げだ。
ゼノス国王と上手い事、調整してやってくれ。
丘の上で草の上に座った俺は、ぼんやりセガル王国の町並みを見てタバコを吸っていた。
「今のところ、特に混乱もなくこれましたね」
俺の横にルファスが座って話しかけてきた。
「そうだな」
俺は、町を見ながらルファスに言った。
俺がミロースに頼んで、この国の奴等がやった事を我慢して、滅ぼさないでもらった国だ。
俺が嫌いな、責任ってやつがあるだろう? 少しは、この国に協力してやるさ。
そう思いながら、ボーッとタバコをふかした。
ヴァルファ帝国。
皇帝の城にて、定例報告が行われている。
「…次に、セガル王国の件に移りますが、王が消息不明で、現在、治安維持にゼノス王国軍が駐留中との連絡がありました」
ヴァルファ14世は、辺境国同士のイザコザかと、その話題を特段興味もなく流して聞いていた。
「また、セガル王国ですが、密偵より、我が帝国領への侵攻を企てていたとの報告があった為、周辺に増援の兵を派遣しておりましたが、この状態では、その心配もないと思われます。
そこで、防衛の為に配備していた軍を、戦闘が続くグラナス高原へ移したいとの要望が来ております、いかがいたしましょう皇帝陛下?」
配下がそう言うと、皇帝の隣に立っていた宰相が手元にある要望書をもって皇帝に近づく。
皇帝は、それを受けとると、サッとサインをして宰相に突っ返し、書類を受け取った宰相が深くお辞儀をし、元の場所に戻る。
「皇帝陛下より、セガル王国周辺に派遣中の兵をグラナス高原への移動を
許可する。 次の報告者は、前へ!」
宰相が、重臣達に向かって言った。
セガル王国。
この日、俺達は、軽キャンが突っ込んで穴の空いた冒険者ギルドにいる。
セガル王国領の他地域から、派遣されたギルドマスターや、職員が冒険者ギルドを再開していたのだ。
「ここのギルド職員がセガル王国と組んで、多数の冒険者の命を奪った事、誠に申し訳なかった」
新任のギルドマスターが直々に俺達に謝った。
当然だろう。
「では、ご依頼のランク申請の件ですが、ノガミさん達がギルドの信用を守る為に不正を働いたギルドの者を処分してくれたこと、本来の力の無いドラゴンとは言え、ドラゴンを多数倒した実力、それらを鑑みて、ランクFからランクCにランクアップです。 本当なら、実力的にAでもいいのですが、…申し訳ない、私の力不足です」
ギルドマスターが頭を下げる。
普通ランクアップは1段階ずつ上がるらしいが、異例の3段階アップ。
いいじゃないか。 また、頑張りゃいいんだ。
俺達は、納得してランクCの冒険者証を受け取った。
「ウィズさん達は、文句なしで、Aランク昇格です」
Sランクの冒険者は、ほぼいない。
事実上の最高ランクにウィズ達はなった。
茶化してやろうと、ウィズを見ると、泣いていた。
今まで冒険者として、相当苦労していたのだろう、それが報われたんだ、
茶化せないや。
俺は、笑顔でギルドを出ようとする。
「俺達のパーティーを解散しよう」
ウィズの言葉に俺は振り返った。
ウィズが、自分のパーティーメンバーに頭を下げている。
「すまん、俺は、ヒロシについて行きたい」
カイ、バン、フィリーは、互いに見合せ頷いた。
カイがギルドマスターの前に行き、
「俺達は、パーティーを解散して、ヒロシ達のパーティーに入る。
ヒロシ、俺達を正式にパーティーに入れてくれるかい?」
と言った。
答えは、決まってるだろう、俺もギルドマスターの側に歩いていく。
「ギルドマスター、戦士ウィズ、弓使いカイ、盾役バン、魔法使いフィリーをヒロシ ノガミのパーティーメンバーに加える。 登録してくれ」
冒険者ギルドに正式に登録して俺達はパーティーメンバーになった。
俺達のパーティーに吸収したので、ランクはCだが、心配するな、後悔なんてさせないよ。 なんせ、俺達は、Sランクになるんだから。
パーティーメンバーも増え、総勢9名になった俺達は、セガル王国を後にした。
軽キャンピングカーが草原を走る。
ボーッと運転していた俺は、リーダーとして、パーティーの名前つけてやるかと思った。
魔導通信を個別から同時多数通信に切り替えて、ブレスレットを口に近づけた。
「あー、みんな。 俺達のパーティーの名前なんだけど、軽キャンクラブ に決めたから、以上」
通信を切った。
ウィズ達は、キャンピングトレーラー3の中で通信を聞いた。
「おい、おい、おい、ホントに大丈夫なのか? ダセー名前になったけど、ホントに大丈夫なのか?」
バンがウイズの腕をつかんで揺さぶりながら聞いた。
「安心しろ、大丈夫だ! ………たぶん」
キャンピングトレーラー3の中で叫び声が聞こえたようだが、喜びの声と俺は受け取る事に俺はした。
目標、ラガス王国。
冒険者ギルドもデカいし結構都会だ。
ノガーミ商会の製品も売れてるし、ナビに入っている。
近道のグラナス高原を越えて行けば、五日もあれば行けるかな?
ま、ゆっくり行こう。
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