第59話「1月24日人事・報酬諮問委員会①」

 1月24日の取締役会当日は、午後1時より人事·報酬諮問委員会が開催された。 


 この委員会は会社のコーポレートガバナンス基本方針にも記載し公表している会社の正式な組織だ。


 取締役の選任は株主総会の議決事項だが、取締役会が、取締役·執行役員の選解任等を決定している。


 その取締役会での公正性と透明性の確保のため、社外役員等を構成員とする人事·報酬諮問委員会が設けられている。この委員会は、取締役会の諮問機関として、取締役·執行役員の選解任等の人事及び報酬に関し、取締役会に意見を述べる役割となっている。


 この人事·報酬諮問委員会の委員長も、もちろん会長だ。


 構成メンバーは社内取締役3名、社外取締役2名、その他3名となっており、全8名中5名が社外のメンバーだ。


「今回の委員会では平野社長の退任が妥当か否かについて判断して頂きたい。事前にお配りしている五反田の取引事故に関する調査委員会の報告書を改めてご確認下さい。もちろん調査委員会に参加されている社外役員の方はよくご承知でしょう。ここに記載があるように最高執行責任者である社長には重い責任があります。もちろん会長である私にも責任はあります。しかし、物件を取得する稟議書の決裁は社長が行いました。報告書では明らかに慎重さを欠く判断でその過失は大きいと指摘されています。全体像を把握せず重大なリスクを認識できなかったことは経営上、重い責任があります。私も報酬の減額をしています。しかし、直接の責任者である社長には、より重い責任があるのではないかということです。是非ご審議頂きたい。」


(続く)

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