第52話:出会い

蒼桜目線____

 正直この状況で緊張しない人なんかいないだろう…。校長と凛音の担任となんだか身分が高そうな老夫婦。この状況で凛音のことを聞かれるとは思わなかった。まだこの場に羅希が居てくれて本当に良かった。

「今呼びましたのですぐに来ると思います。」

「手間をかけさせてすまぬな。」

「いえ。一条先輩には現役時代お世話になりましたから。」

 校長の先輩なのか。

「ところで猫音は最近どうです?」

「相変わらず頑張っていると聞いております。先日の戦争では司令を無事に成し遂げたようですよ。」

 なんだか司令部の話で盛り上がっている。

「班長…多分あの男の人は一条厳久郎さんだよ。」

「ごめん。だれ?」

「昔黒軍の危機を救った司令部の先駆者って言われている人。あの人の息子さんは騎馬兵団かなんかで武勇を挙げた人だよ。」

 知らなかった…。

「一条家はしかも黒軍の名門って言われているところだよ。」

 すると

「失礼します!戦闘学科1年の四月一日です。」

「こちらへ。」

「君が四月一日凛音さん?」

「はい。」

 凛音緊張しているな…。

「目がそっくりね。あなたのお母さんの名前は?」

「綺羅です。」

「本当に四月一日さん?」

「はい。」

 困った顔をしている三人。凛音がこっちを見る。

「凛音、もしかして生みの方のお母さんの名前をきいているんじゃないか?」と助け舟を出すと。

 あっという顔をして凛音は、

「私の生みの母の名前は琴音です。」と言った。

「凛音さん、よく聞くんだよ。その琴音は私の娘だ。

 つまり貴方は私たちの孫だ。」

 驚いた。だけど先生達の顔色は変わらない。先に聞いていたのか。

「えっと…。私のおじいちゃんとおばあちゃんってことですか?」

「そうだよ。それでな、もしよかったらの話だが、寮を出てうちんちにこないか?」

「…ちょっと考えさせてもらっていいですか?」

「もちろん!」

 そこから少し話をして解散になった。凛音は気まずそうだけどなんとか場はもったし、とりあえず良かったのかな?

「凛音どっかこの後行かない?」

「私、雨梨先輩と約束してて…。」

「ついて行っていい?」

「聞いてみますね!」

「もしもし!雨梨先輩!羅希先輩も一緒に遊びに行ってもいいですか?はい、はい。わかりました!はーい。ではまた後で!」

「OKだった?」

「はい!蒼桜にいはどうします?」

「俺はまだやること残ってるからちょっとパスかな。楽しんでおいでね。」

 凛音の祖父母が現れた。一条家。黒軍の名家。何か嫌な予感がする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る