第37話 プールと水着

「じゃあまた、あとで。」


ライラとタニタと別れて、少し先で待ってるドンドの方に向かう。


「女の子に囲まれてモテモテだな。」


とドンドが昨日と同じようなことを言ってきた。からかってる、のだろうなあ。


「モテてもあまりいいことはないよ。」


わざと深刻そうに返してみたら、ドンドは笑ったのでやっぱりからかってたのだとわかる。


ロッカーに荷物を入れて着替える。二人とも学校でのと同じ水着だ。パンツとシャツに別れてるけど、着ると重なってお腹は見えない。地球だと昔の人が着てたような水着。


シャワーを浴びてからプールサイドに出ると、かなり広い。手前に小さい子用の浅いプールがあり、プールサイドから滑り降りることのできる小さな滑り台まである。その向こう側に2つくらいのプールがあり、さらに奥には噴水や大きな滑り台まである。チューブにはなっていない、まっすぐに降りてくる滑り台のプール版といった感じだ。


「あとであれ滑ろうぜ。」


と奥の滑り台を見てドンドが言う。見てると結構なスピードで下のプールに飛び込んで大きな水しぶきをあげている。


「あー、心の準備ができたらね。」


「なんだよもったいぶって。女の子たちが来る前に一回すべろうぜ。あ、もう来たな。おーい、こっちこっち。」


ドンドの言葉通り、ライラとタニタの二人が着替えを終えてこっちの方にやってきた。二人とも学校のと違う水着のようだ。

ライラは上からポンチョみたいにかぶるタイプの、だぼっとした服を着ていた。パステルっぽい淡い色合いで、素材は濡れても大丈夫そうだ。そういえば地球でも小学生がラッシュガードのようなのを水着の上から着ることが多いらしいというのを思い出した。

そしてライラの後ろにいるタニタの水着も、学校で着ていたのとはだいぶ違う。なんと言うか魚のうろこみたいにキラキラする不思議な色で、フリルも付いている。

地球の水着だとパレオとか腰まわりにスカートみたいに付いてるのがあるけど、タニタのはそれと違っていて、腕の付け根から縦に2本のヒラヒラが続いている。

そして反対側は同じかと思ったらそうではなく。


「へー、後ろのフリルは1本なんだ。魚の背びれみたいだね。」


タニタの水着を見るために後ろにまわった僕は、感想を述べた。

が、タニタの様子が少しおかしい。


「あ、あんまりじろじろ見ないで欲しい。」


そう言うと身体の前で腕を交差させるような身振りをした。


「えー、もっと見せてよ。」


異世界の水着をもっと見たかった僕はそう言ったが、


「もー、やめなよー。」


ライラが僕とタニタの間に入って腕を横に広げた。ポンチョみたいな服のせいもあって、後ろのタニタをすっかり隠している。


そして、


「ちょっとこっちこないでよー。」


と言ってタニタを連れて行ってしまった。


「だいじょうぶー。あいつは最近変なんだよー。あまり気にしない方がいいよー。」


とタニタに言っているようだ。

異世界の水着への興味からの行動だったのだが、ちょっとまずかったかも。でもこれでライラとタニタが仲良くなるのであれば、良かったこともないわけではない。


「はあ。」


それでもついため息をついてしまった。


「元気出せよ。」


ドンドが慰めてくれた。


「でもあれはないけどな。」


そうでもなかった。


とりあえずライラとタニタには時間をおいてからあやまろう。



「よし、じゃああれ滑ろうか。」


と僕は奥にある滑り台を指差した。





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登場生物まとめ


カンカ:僕の一時転生を受け入れてくれた男の子。鈍感主人公。

ライラ:カンカの幼馴染。眼鏡っ子。

タニタ:カンカの左隣に座ってる女子。無口。マンガ好き。

ドンド:カンカの右隣の男子。運動が得意で泳ぎも得意。

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