第220話 幻の戦い


 刀和の部屋では激しい戦が繰り広げられていた!


 バチチチチチチチチチ!!!!


 瞬とムーの激しいジャブの応酬が始まる!


 バチィン!


 激しい当たりをしてから二人で距離を取り始める。


 シュッシュッ……


 デトロイトスタイルで左腕を左右に振る瞬。


(あれって間〇のフリッカーの真似だな……すぐに影響されて真似し始めたっけ……)


 ちなみに実験台になったのは概ね刀和と英吾だった。

 対するムーはと言えば……


 クン……クン……


 左腕を前に出して上下に振っている。


(あれは沢〇竜平の弾丸バレット! どこで知ったんだろう?)


 再び近づいていく二人だが……


 バヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!!!!


 互いに高速のジャブがぶつかり合いを始める!


(凄い! 無重力で踏ん張りが効かない状態でここまでできるんだ!)


 両者の攻防に感心する刀和。

 瞬とムーはジャブで牽制し合いながら徐々に近づいていき……


 ブビュォン!


 瞬の右の振り下ろしチョッピングライトとムーの閃光の右が空振りする!


 チリリ……


 互いの顔に少しだけかするのだが、軽いやけどをしてしまう。

 それを知ってにやりと笑う瞬とムー。

 ちなみにどちらも悪役の笑い顔である。


「やるじゃない……」

「……あんたこそ……」


 そう言って二人は再び打ち合いを始める!


「ああ! 二人ともちょっとやめて!」


 そう言って間に入ろうとする刀和。

 するとそんな刀和の肩に手が置かれた。


「およしなさい。女同士の戦いに殿方は入る物ではありませんよ?」

「えっ?」


 落ち着いた声に我に返った刀和が後ろを振り向くとシラツユが居た。


「二人とも、もはや刀和殿を見ておりません。放っておきなさい」

「は、はぁ……」


 そう言ってシラツユは刀和の手を引いてしとみを開き、外へと出る。

 蔀が閉じる寸前に刀和が見ると、瞬はデトロイトスタイルでじっと待ちの姿勢を取り、ムーはピーカブー体勢で頭を8の字に回し始めた!


(あれはもしや幻の幕〇内 対 宮〇の再現になるのでは!?)


 思わず戻ろうとしてしまう刀和。

 だが、そんな刀和の襟首をシラツユが引っ張る。


「よしなさいと言ってるでしょう?」

「うわっぷ」


 刀和が襟首を引っ張られて蔀から手を離れると同時にシラツユが蔀を閉じる。


 バティィィィィィィン!!!


 蔀の奥で激しい打撃音が聞こえた!


(………………めっちゃ気になる!)


 慌ててもう一度蔀を上げようとする刀和だが、シラツユがその手を押さえる。


「さ、行きますよ?」

「ま、待って! せめて結果だけでも見させて!」

「はいはい。後でね」

「う~~~」


 意外に強いシラツユの腕に引っ張られて結果を見られないまま、去ることになる刀和であった。



 用語説明


 間〇と沢〇


 〇柴と〇村の邪悪な対決は「は〇めの一歩」のベストバウトの一つ。

 反則大好きの狂犬対決は面白かったなぁ……


 幕〇内と宮〇


 一歩が引退したことで永遠にみられなくなったカード。

 個人的に一歩は久美ちゃんを賭けて間柴と対決することで復帰するんじゃないかなと睨んでいる。

 今の調子で行くと久美ちゃんとの結婚に絶対になるし、そうなると説得するしかないけど、あの兄貴に認められるにはもう一度やり合わんと無理やろ?


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