第7話 たとえば、君が……(詩)


 たとえば君が、日本に生まれていたら

 君は柔道でオリンピックをめざしてたかもしれない


 でも、君の生まれた国は、少し前まで内戦をしていた



 たとえば君が、フランスに生まれていたら

 君はバレリーノになって、観客を魅了していたかもしれない


 でも、君の家は貧しくて、幼い君も働かなくてはならなかった



 たとえば君が、ブラジルに生まれていたら

 君はサッカー選手になって、世界中の人をテレビに釘づけにしたかもしれない


 でも、君は地雷の撤去をしていた



 たとえば君が、イギリスに生まれていたら

 君は乗馬の大会で優勝していたかもしれない


 でも、君は地雷をふみぬいてしまった



 たとえば、君には、たくさんの未来があった


 子どもらしい夢もあった


 遊びたかった

 笑いたかった

 もっと、もっと、大地をかけまわりたかった


 でも、君の美しい足は、半分になってしまった


 誰が君の未来をうばったのだろう?





 超・妄想コンテスト50回

『半分』

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