8月の蒼い空
完敗だった――――――――――――――。
全国高等学校野球選手権東東京大会3回戦・対
ここまでは良かった。しかし続く佐々木さん・辰巳さん・林さんが三者連続三振に倒れ無得点。帝道の背番号11・2年生左腕の
続く2回表もこの日6番に座った俺の安打で走者を出すも後が続かず無得点。
渋学の先発・筒井さんは3回まで1人のランナーも出さない完璧なピッチングで抑えるも、打順が2巡目になった4回裏に3点を失う。そうなると完全に帝道のペースだ。打線の方も岩本さんと7回から登板した背番号18・1年生右腕の
試合後、部員全員で集まり、3年生が監督・そして父兄に深く一礼する。3年生はこれで引退。ここで涙を流さない3年生はいない。そして明日から新チームだ。
◇ ◇ ◇
この試合も麻衣さんと沙織さんが観戦していた。グラウンドからもちゃんと確認できた。試合後の記念撮影が終わった時、2人から声をかけられた。
「優くん、そして渋谷学院野球部の皆さんお疲れ様でしたー!」
2人は俺、そして部員にそう声をかける。するとある部員から、
「なんでツバキガールズがここにいるんだ・・・しかも2回戦も来てたよな・・・」
という声が聞こえた。そして、
「今日の試合、残念やったなぁ」
と麻衣さんは言う。そして沙織さんも、
「まぁ、優くんはまだ1年だしこれから頑張ればいいじゃん」
と言って、俺をなだめてくれた。そして、
「今日までは私たちが優(くん)を応援してたけど、明日からは優(くん)が私たちを応援する番やで(だよ)!」
と2人に言われたのは言うまでもない。そして帰りのバスで高橋さんから、「試合後の記念撮影で俺たちに声かけた2人、ツバキガールズじゃねぇか!しかもお前と知り合いみたいだし、お前何物なんだ?つーか前の試合も来てたじゃねーか!」と言われた。
よく考えたら2回戦、3回戦と人気アイドルが応援に来ているうちの学校もなんか異様だな。今日の試合に至ってはTwitterに、『今日の神宮球場、渋学のスタンドにツバキガールズのまいっちとさおりんごがいる。野球好きなのかな?』という内容の書き込みがあったくらいだし。
◇ ◇ ◇
渋谷学院は夏の大会が終わるとすぐさま新チームが始動し、主将には高橋さんが選出された。そして俺自身も、新チーム結成後も引き続きショートのレギュラーがほぼ確定し、練習試合では4番を任されるようになったのだ。
そして8月、ツバキガールズは3枚目のシングルが発売された。デビューから3枚連続で初日から100万枚以上が出荷されたという。これまでは俺がみんなに応援されていたけど、これからは俺が応援する番だ。
俺はそう思いながら、これから練習試合が始まる灼熱のグラウンドを駆けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます