面黒町の人々

稲荷 古丹

第一町人 ビリーおじさん

陽気で愉快なビリーおじさん。

頭は見事なモヒカンヘアー。

いつも公園にやってきて、ベンチに座れば子供達の人気者。

なんてったって、おじさんの頭は切れ味抜群。

モヒカンヘアーで何でも斬っちゃう。

布切れ、雑草、木の枝、石ころ。

あっという間に真っ二つ。


ある日、大きな嵐がくると分かり、町の皆は大混乱。

ビリーおじさん涼しい顔で言ってのけた。


「ちょっくら、風を切ってくるぜ」


それから荒海に小舟で漕ぎ出し、見えなくなって、暫く経って、


すぱっ


と曇天真っ二つ。

たちまち快晴、小春日和。


大喜びの住人達の下へ、ビリーおじさんが帰ってきたが、


「いけねぇ、時代まで切っちまった」


ビリーおじさん、首長竜の背の上で、モヒカンヘアーを撫で上げる。

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