第七十二話『冒険者ランク査定』
リアン王国首都リリアン、冒険者ギルドリリアン支部。
リリアン、と言う単語の連呼だが……。
今は気にしなくて良いだろう。
だって今はーーガレーシャの監視員生活終了の時なのだから。
以前申した様に、ガレーシャが僕達の仲間として居られるのも『僕の冒険者ランク査定』があるからだ。
その報告作業が、今行われている。
まあ……ギルドカウンターとか、人目につく所じゃなく。
ギルマス部屋にて報告を行なっている様だね。
壁を数枚挟んだ所でも、その内容を盗み聞きする事は僕にとっては造作も無い事だ。
最大可聴領域無限の、僕の聴覚を舐めない様に。
まあそもそも、だ。
流石に、重要な報告と決め事の会議中に、僕が盗み聞きをする必要は無いしね。
だから今はモイラと共に、ギルドのテーブルで駄弁っているよ。
「ガレーシャちゃん、ユトの実力の事、包み隠さず言っちゃうのかなー」
「……杞憂じゃない?一応、僕の未来視の事とかは伏せておいて、って言っといたし」
「でもねぇー。ユトの実力って、隠さなくても簡単に世界滅ぼせるクラスだから……」
物騒な単語。
僕は鼻で笑った。
「モイラだって常世の創造神なんだから、僕の査定のとばっちり受けて冒険者ランクプラチナとかにされそうだけどね」
「ははは……あり得るから怖い」
現在の冒険者ランクの差分は簡単に表すと……こうだ。
【銅ランク】
ランクの最下位に位置する。
初心者冒険者の無法地帯。
冒険者だと区別するタグの色は銅。
銀ランク以降から存在する下位・上位などの区分は鉄ランクと同じく存在しない。
【鉄ランク】
初心者冒険者がぶち当たる最初で強大すぎる関門であり挫折点。
因みに、僕の今のランクがここ。
冒険者タグは鉄。
ちょっと優秀な一般人が集う。
【銀ランク】
ここでやっと、初心者冒険者が熟練だと語れるくらいのランクになる。
銀ランクからは上位・下位と二階層で区分されている。
その実力差は月とスッポン、と言っても過言では無い。
冒険者タグは銀。
上位・下位とではタグデザインが若干違う。
【金ランク】
魔物討伐数数百とかを記録する冒険者達が、うじゃうじゃいるクラス。
ここも銀ランクと同じく上位・下位と区分されている。
冒険者タグは金。
【プラチナランク】
国を救った英雄が集う。
一番僕が適用されそうなランクがこれ。
……マジで、国民の眼差しを一身に受けるので、なるのはオススメしない。
※僕の経験談
これも上位・下位と区分はされている。
だが、プラチナランクの人数も人数なので、あって無い様なもの。
冒険者タグの色はプラチナ。
【ダイヤランク】
世界でたった三人にしか与えられていない、幻のランク。
……僕、これにもなったことがある。
それはもう……出歩けないよ。
マジで毎日外出禁止令敷かれてる様なもの。
冒険者タグは、豪華にもダイヤ。
上位・下位などの区分は存在しない。
ーーとまあ、こんな感じだ。
底辺から順々に昇級していくなら、九行程もあるので……まあ、やりたいのならどうぞ。
人生無駄になると思うよ。
まあとにかく、僕のランクを昇級されるのなら『銀ランク上位』位で止めて欲しい。
そこら辺のさじ加減は、ガレーシャに任せることになるけど……。
「大丈夫かなぁ……ガレーシャちゃん」
モイラの呟きに、僕は激しく同意。
「……だよね。本棚に盛大に頭を突っ込んだとしても、腐っても彼女は貴族だ。言い分次第では、どんなランクにもなり得る。有名な学校の首席ともなれば、それはもう……」
思わず溜息を吐く僕。
「ダイヤランク認定もある……か。やだよー、ユトが女の子に集られるのは」
「ははは、ソウダネー」
僕は片言で、目を若干逸らしながら呟いた。
いや、実際あり得るから怖い。
……確かに、それにならない様な策はあるけど。
と、思ったちょうどに。
「フトゥールム様。冒険者ランクが決まりましたので、随時カウンターへと」
ガレーシャの同僚かなんかの受付嬢がやって来た。
「はいはい。すぐ行きますよっと」
くっ。
……やって来てしまったのなら仕方ない。
僕は嫌々ながらも重い腰を上げ、面倒そうにカウンターへと向かった。
案内役の受付嬢の背中から、ふと、カウンターへと目をやると。
既に、カウンターの奥にはガレーシャが待機していた。
準備万端って事ね。
……良いよ。どんとこい。
小さい胸を張り、僕はーーランク査定の結果を知る事となる。
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