第15話 ぶえっくしょんうぇーい

『スギ花粉ができたのは日本の政策のせい』


 戦後、日本では家を建て直す為に成長の早いスギが多く植林された。

 おかげさまで、今では国土の三分の二が森林であるが、その内四割はスギやヒノキなどの人工林である。


 スギを植えたまではいいが、その後日本では林業が衰退し、外国からの質が高くて安い木材が主流となってしまった為、各地のスギはそのまま放置された。

 1963年前後から目や鼻にアレルギー症状を示す患者が増加し、齋藤洋三と言う耳鼻咽喉科学者が「栃木県日光地方におけるスギ花粉症 Japanese Cedar Pollinosis の発見」という論文を発表して、スギ花粉が世に知られる事となった。


 今では大分落ち着いたが、私も花粉症で毎年苦しめられている。

 特に今年はひどかった。


 私は子供時代から、杉山に火を放ってしまえばいいのではないか。

 スギ花粉に苦しむ人が救われるのではないかと考えていた。

 恐らくそれは私だけではないだろう。


 だが、きっとそうすれば、またなにか、我々人類にとっての不具合が発症するかもしれない。

 後の子供たちの事を考え、時には慎重な決断が必要とされると勉強させられるばかりである。

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