第63話 い、や、か

「いいのか?」

 年の瀬、ましらは実家ではなく俺の家にいた。

「お前は将来の家族だし」

「ま、真顔で言うなよ!」

 猿は鼻で笑いながら俺を抱きよせる。顔近い。

「す、するの?」

「嫌か?」

「いや、じゃ――」

「い・や・か」

「……したい」

 あれ以降、言葉を濁すたびに猿は明確さを求めてくる。

 強気な猿も好き。

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