TAROTORA~カードに描かれた世界~

Raito

序章

[火の話]


ここは月が良く照る夜の国

辺りはみ~んな真っ暗で

頼りない月の明かりだけが輝く世界

そんな世界にやって来た

一人の男は魔法を使い

長い棒に火を点けた

闇だけだった世界の中に

男のおかげで光が生まれた

人々は喜び

光と闇のバランスは保たれた

しかし怒ったのは夜の女王

彼女の力が及ぶのは

暗い闇の中だけで

男を怨み呪っていた

憩いを求めた男はそうとも知らず

夜を司る闇の城へと

女王に挨拶に訪れた

女王はここぞとばかりに男を捕え

いい加減な裁きをもって

男を棒に括りつけ火を放った

燃え盛る棒はそのまま全てを焼き尽くした


[水の話]


世の中全ての力は教皇のもの

教会が全てを統べる時代

その意思に従わぬは

則ち死を与えられることとなる

冤罪主張の死刑囚

逆さに吊され干からびる

彼を不憫に思った修道士

杯に入れた命の水を

死刑囚に与えたが

司教にそれがバレてしまう

教会の怒りに触れたその修道士

彼の正義は役立たず

今は彼も逆さ吊り


[風の話]


太陽の元に生まれたのは

若くてたくましい王だった

彼は戦車に乗って風のように

戦場を駆け抜けた

その右手には細身の剣

未だ負けなし無敵の剣

しかし王は愚か者

剣と己に自惚れて

みだらに剣を振り回す

粛清にあった家来の息子

己の太刀を握り締め

とうとう王に刃を向けた

一度は天下を手にした王は

自らの罪に真っ逆さまに落ちて行く


[土の話]


ここはとある豊かな町

才色兼備な箱入り娘と

将来有望な跡取り息子は

共に良家の一人っ子

ある夜二人は川の辺

星の元に導かれ

恋人の契りを交わした

しかし愛に溺れた世間知らずの二人には

他のものなど目に入らず

ただ相手の為にと

湯水の如く金を使い

やがては負債だらけの

悪魔の夫妻と成り果てた


[世界の話]


女王に使われた裁きの棒

力に吊るし上げられた哀れな杯

王が振るった愚かな剣

恋人に振り回された名もない金貨


世界を支える四つの柱

全ては力を失って

運命の輪は動きを止めた

集え 再び 世界の元へ

四つの柱と

全てのアルカナ集う時

運命の輪が回りだし

新たな世界の扉が開く


~始まりの話~…fin

next to THE FOOL


------------------------------------------------------------------------------------------------

Tora's Data -1-

トーラ地方-The Tora districs-

古代ヨーロッパ人が“アトランティス大陸”北西にあると信じた、伝説上の地域。

北は“チェール森林”、東は“ヘルバレー”、南は“ディサイ砂漠”、西は一神教の“アメリ王国”との国境で仕切られたほぼ長方形の地域のことを指すと言われる。

伝承によれば、この地域では四大元素など自然を信仰の対象とする無神教の信仰が行われていたと伝えられるが、その真偽は定かではない。

紀元前において非常に発達した文明を持っており、既に火薬や馬車等は登場していたとされる。“トーラ地方”はその進んだ技術により、指導者が指揮をとる形で各地に都市国家が築かれ繁栄したと伝わる。

しかし、その歴史は謎が多く未だ伝説の域を出ない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る