時は留まる

ムラサキイロ

第1話帰り道


             ―最初の春―


「ねぇライ、私たちってどうやって知り合ったっけ?」


『ん?急にどーしたのミヤ。』


「なんかふと思ったの。」


『えっと…ゲームの曲だった気がする』


「あぁ!あの某冒険ゲームの曲。」


『それで、僕が話しかけたような…。』


「そうだったような...違ったような…。うーん、覚えてないやっ!ww」


『覚えてないのかよwwじゃあ僕はこっちだから、またな~』


「うん、明日ねー♪」



…。いつも道を曲がると来はいつも哀しそうな顔になる。昔はあの顔も私に見せてくれたのに。

私、日寺 ヒノデラ ミヤと刀田 トウダ ライは小学校高学年の頃から仲良くなった。お互い同じ奴らにいじめられてたのが1番の理由だと思う。

私は多少振り切れた。だから今はもうほとんど苦しみはない。家のことで多少はあっても、リスカはもうやめたし自殺願望も減った。

だけど、来は違う。

今でも昔のことを引きずってる。いじめてきた奴らを見ると最近は動悸がおかしくなったり、昔のことが脳裏を埋め尽くして震えたり、リスカ・アムカ、レグカまでしてる。でも本当の気持ちをあまり言わなくなってる、教えてくれない。

来から言わないってことは、詮索してほしくないってことだから私からは何も聞けない。でも心配で、でも何も出来なくて…。ネットでも病み垢は私に負担かけるかもだからってブロックされちゃったし。もし来の本音が聞けたとしても、完全に来の事を分かってあげることもできないし、身代わりになってあげることもできないし、逆にもっと来に負担をかけちゃう可能性だってある…だから私は無力すぎる。


「よーっし、切り替えないとっ!今の顔、来には見せられないし。」


『えっと~どの顔は僕に見せられないって~?』


「えっ来?!」


『今週末暇なら一緒にゲームしよーって思って。』


「あ、うん!いいよっ!」


『やった!じゃあ僕の家きて。』


「おっけ~。」


『ねぇねぇ、さっき何考えてたの?』


「え、えっと…その…」


『僕たちに隠し事はなしじゃなかった?』


「そうだけど…」


『ごめん、うそうそ。隠し事いっぱいの僕が言えたことじゃないよね』


「あ、いやそういうわけじゃ…」


『言いたくないなら言わなくていいから。言えるようになったらその時に…ね?』


「うん…。」


『僕もいつか絶対話すから。』


「うんっ!絶対だからね!」


『りょーかい。今日中に新垢作ってネットの方お迎え行くから時間はその時に!』


「は~い!」


『明日寝坊すんなよ。それと…』


「うん。それと…?」


『死ぬなよー!』


「もっちろん!」


『じゃあな。』


「ばいば~い。」



雅の後ろ姿を見るといつもいつも怖くなる。

僕たちの友情もカタチだけですぐ消えてしまうんじゃないか…って。

そもそも、親友とか言ってくれる時はあるけど本心なのか?

なぜ僕と話してくれるのか?

信用していいのは今までのことから分かる…でもいまだに信用出来てない。

信用するのが怖い。今まで人を信用していい事なんてなかった。

裏切られることが多かった…というか裏切られてきたから。

…僕がこんなことばっか考えてるから友達って思われてなくても仕方ないかなって。









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