第53話 驚き③

 雑誌に夢中になって桜井さんが来ていた事に俺は全く気づいてなかった。

 「…それでは」

 「…あ…」

 桜井さんは謝ると急いで走って言ってしまった。

 多分だが、他の人全員にも謝って回っているのだろう。

 そんなに必死になって謝っているのはもしかしてこの雑誌に載っているのが本当の事だから…。

 何だか自分がバカらしくなってきた。いや、違う。あまりにも無力な自分が嫌になってきたんだ。

 よく考えれば今までだってそうだ。誰かにはげまされ、助けてもらってばかりだ。

 こんな僕を桜井さんが好きになるわけがない。

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