第52話 夢③

 「君の最近の活躍はすごいよ。僕も最近は…」

 はぁ。

 思わずため息がでそうになる。でも、私は子役だ。心の中だけでため息をする。

 この男。

 ずっと自分の会話ばかりしている。

 「…でさ、僕は言ったんだ。それで…」

 早く飯を食えよ!

 おっと。少し口が悪くなってしまった。

 あーあ。せっかくのスープが冷めて湯気がたたなくなっている。

 ホテルに帰ったら千賀さんを締める。そう心に誓った。

 「…なんだ。ふぅ。さぁ料理を食べようか」

 本当もう帰っていいですか?

 「どうしたの?スープが冷めるよ」

 もう、お前の長話のせいで冷めてるよ!とは流石に言えず。

 「うん。いただきます」

 冷たくなったスープを美味しそうに食べる。

 「ところでさ。僕の彼女にならない?」

 ぶー!

 あ、危なかった。もう少しでスープを口から吐き出す所だった。

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