第26話 ジョーイ2、
だから言っただろ?
目の前にジョーイが立っていた。どういうことだ? 無意識の独り言に、僕は気がついていなかった。
どうもこうもない。これがこの世界の常識なんだよ。
ジョーイの言葉を聞き、自分の心の声が漏れていたことに気がついた。なんとも恥ずかし言葉を聞かれてしまったと感じている。どういうことだ? なんて間抜けな言葉なんだろうか。現実を受け入れられないなんて、つまらない。
背後に目を向けると、さっきまではそこにエイミーがいた荒野が広がっていた。僕はもう一度ジョーイの傍を抜けて獣の左手を下げドアを引いた。やっぱり目の前にはジョーイがいて、背後は荒野だった。どういう理屈かなんて、分からないしどうでもよかった。つまり僕は、この部屋からは出ることが出来るってことが分かった。元の世界には戻れないけれど・・・・
俺もこの世界にやって来た時は驚いたもんだよ。俺の時は四人でやって来たんだ。まぁ、俺たちは特になにかに巻き込まれたことないから、普通に四人で帰ったんだけどな。問題はその次だった。俺も他の奴らも、こっそりこっちに来ようとしたんだけど、どうやってもここには辿り着けなかった。たまたま四人が揃うことがあって、その時だけはそのドアがここへと繋がるんだ。気づいているか? ここへ来るにはドアを通る必要がある。
僕はまだ一度しかここに来ていなかった。気がつくもなにも、それしか知らなかった。
最初に四人で来たってことは、その後も四人で来ないと入れないんだ。それと同時に、四人で来たなら四人でないと帰れない。お前が向こうに帰るには、あの二人を探し出さなくちゃならないってことだ。
あの二人? ジョーイがそう言った。どういうことなんだ? ジョーイが雄太と昭夫を知っている? 単純に考えればエイミーから話を聞いていたで済むけれど、僕には違和感ありありだった。
ジョーイはどこであの二人と会った? 僕が一人じゃないって、なんで知っている?
頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかけた。
俺もその現場にいたからな。奴らの考えはつまらない。そのやり方も気に喰わない。
ただ見ていたのか? どうして助けない? 当然の憤りを瞬発的にぶつけた。
それが自然の摂理っていうやつだ。ジョーイは無感情にそう言った。
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