第24話 エイミー12、
エイミーは車で僕を送ってくれた。運転をしたのは僕でもなく、エイミーでもない。 着替えを済ませて外に出ると、そこにはカナブンが迎えに来ていた。後部座席にはエイミーがいて、運転席にはジョーイが座っていた。
本物のジョーイを見るのは初めてだったけれど、車の中にいても、その佇まいですぐにジョーイなんじゃないかって勘付いた。
しかし、二メール程の長身は、カナブンではキツ過ぎる。背中を丸めたジョーイは、かなり異様ではあったけれど、可愛らしくも思えたのが不思議で可笑しかった。
車中でのジョーイは、一切言葉を発しなかった。エイミーが話しかけても、頷くだけ。夜だと言うのにサングラスを外さないことは、突っ込めなかった。ジョーイはやっぱりジョーイなんだとの雰囲気だけは、ずっと醸し出していた。
僕の家は、校舎のような建物の一室にある。獣の毛皮に覆われた、この世界と僕の世界とが繋がっていると思われるあの部屋こそが、僕の家なんだ。エイミーがそう言った。
あなたたちはきっと、この世界を救うのね。楽しみにしているわよ。
そんな言葉を最後に、エイミーは消えて行った。道路脇に立ち、親指を立てた右手を真横に伸ばすとすぐにタクシーのような車がやって来ては、それに乗り込んだ。
ジョーイはカナブンに乗ったままで玄関口に入って行き、戻っては来なかった。スライドパズルのようにぐるぐると回転して、僕の部屋が現れた時に、カナブンが入って行った玄関口は一番上の左端に移動している。ジョーイはきっと困っている。僕は勝手にそう思っていたけれど、いくら待っても部屋は動いてくれなかった。
取り敢えず僕は、その部屋のドアの取っ手に手をかけた。すると、力を入れていないにも関わらず、取っ手が下がり、ドアが開いた。
まさか!
開いたドアの中には、ジョーイが仁王立ちしていた。その顔の全体は見えず、口元しか見えなかったけれど、間違いなくジョーイだと分かった。
けれどどうして? どうやってこの部屋に?
その疑問は口にしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます