ショート・ショート・ショート・カット

伊瀨PLATE

No.1 『原因は、被害者のスマホによる不注意と見られており――』

 自殺をしようと思った。


 調べてみると、死に方はたくさんあって、よりどりみどりだった。


 選んでいるときが一番楽しかった。


 これだけ方法があるのなら、自分に相応しいものがあるはずだと考えた。


 移動中、昼休み、寝る前と、スキマ時間を見つけては調べていた。


 何日目かの朝、これは、というものを見つけた。


 準備に少し時間とお金は掛かるが、自分の命の価値としては上等に思えた。



 ドンッ、と背中を強く押された。



 転がり落ちて、自分が線路の上にいることがわかった。


 電車の警笛と急ブレーキの音が鳴り響く。


 よりにもよって、調べうる中でもっとも美しくない死に方になるなんて。


 本当、人生はままならない。



 ――――ああ、そうだった。



 だから、自殺をしようと思ったのだ。

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