ルームメイトは幽霊さん

@tomato197775

オープニング

第1話 それは儚い出会い

ひらり

ひらり

桜の花びらが舞降りる。

優しい満月の光の下で桜の花びらが舞い降りる。

一番大きな桜の枝の下、月光に照らされて、まるで花びらをまとうようにたたずむ1人の少女。

どこにでもいるようでいて、どこにも存在しないかの儚げな少女。

少女は僕を見ながら微笑んでいる。

僕はただその姿を眺めていた。

僕はその少女を知っている様な気もする。

どこだったかな?

ひらり

ひらり

そんな事を考えている間にも、少女を包み込むように優しく桜の花びらは舞い積もる。

満月の優しい光に照らし出されて、桜の花びらは舞い積もる。

僕はその光景をただ見つめることしかできなかった。

目を離せば消えてしまう気がして。

だから優しい満月の光に照らし出されている少女を見ながら思う。

こんな夜遅い時間に何をしているのだろう?

そして僕は何をしているのだろう?

僕は少女を見つめ続ける。

たぶん少女に魅せられているのだろう。

どこかとても儚げで。

そしどどこか悲しくて。

悲しくて儚げだから美しくて。

あまりにも存在感が無いけど、その存在感の無さが妙にリアルに感じられて。

美しい存在だから僕は少女を見つめる事がしかできなかった。

彼女は僕に気がついているのか、気がついてないのかただ微笑んでいる。

それとも桜を見つめ続けているのだろうか?

微笑んでるよんでいるようにも見えるけど、泣いている様にも見えた。

誰か待っているのだろうか?

もうすぐ誰か来るのだろうか?

誰かと待ち合わせだろうか?

それだと少し悲しくて切ない。

なぜ?

僕はなぜそう感じるのだろうか?

それとも桜を見続けているのだろうか?

僕は考え続ける。

だけど少女はあまりにも儚げで声をかける事ができないでいる。

そんな気持ちとは裏原に、僕は静寂と優しい満月の光に照らし出された桜の花びらが舞積もる公園で悠久とも感じられる時間を過ごしていた。

僕は少女を見続ける。

そして静かに考えている。

もう一度会えるだろうか?

少女とは何か縁があるのだろうか?

明日も会えるのだろうか?

自分でも思う。

魅入られたと。

話しかける事もできない少女に、また会いたいと思っているらしい。

もう一度会いたいと言う願いはかなうのだろうか?

明日も会えるのだろうか?

僕はどうやら話しかける事もできない相手に強く会いたいと願っているらしい。

もう一度会いたいと思う自分の感情がおかしいと思う。

でももう一度会いたいと思う気持ちは本当だった。

考え事をしている間にも時間だけが静かに流れていく。

朝日が昇はじめ、月明かりを打ち消していく。

時間が来たらしい。

僕は静かにベンチから立ち上がる。

少女は寂しそうとも再会を喜ぶようにも見える様に見える微笑みを浮かべていた。

僕は自転車を押して公園を去るのだった。

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