マイキャンパスライフ


「働きたくねえな」

おれは呟いた

このままぼんやりと大学を卒業してしまって良いのだろうか?

おれは一体、この場所で何を学んできたのだろう?

近頃、憂鬱にさせられることが多い

学食でお気に入りのパンなんか食べている場合ではないのだ

珍しくおばちゃんが話し掛けて来た

「ビャナナ食べる?」

「は?」

おれは尋ねた

「ビャナナ」

おばちゃんは一旦、おれの視界から消えると再び現れた

手にはバナナを握り締めていた

ビャナナ………

それはなんて完璧な発音なのだろう

おれは感嘆した

このおばちゃんを英語の講師として迎え入れた方がよっぽど中身のある授業が出来たのではないか?

だがもう遅い

おれたちはもうすぐ卒業してしまうのだ

だが翌週からおばちゃんは姿を消した

どうやら頭が少しおかしかったらしい

おれたちよりも早く卒業してしまったのだ


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