牛の乳首を見ていたら酷く気分が悪くなってきた

なんて気味の悪い縦長なんだ

あんなものに吸い付く子牛の気が知れない

「常軌を逸しているとしか思えないな」

子牛の感情を真っ向から否定した

さらに続けた

「おれはあんな乳首に吸い付くつもりはないね」

決別

だがそれは所詮、人間目線でしかない

もし子牛になれば無我夢中でその縦長に吸い付くのだ

「え？　乳首？」

そのようなことを言い目の色を変え母牛の乳首に我先にとむしゃぶりつくのだ

一心不乱に、それ以外などまるで目にも留めずとにかくあるがままに乳首に吸い付く

そういったことが野生

母牛はきっとぼんやりと富士山などを眺めているだろう

もちろんそれが富士山だとは思っていない

そもそも山という概念が牛には無い

（何かでっぱっているなあ………）

そう思うだけだ

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