ある詩人


詩人は

花柄の服を着せられたまま

高原に突っ立っていた

手にはぬいぐるみも持たされていた

でも本当は

そのような服を着てみたくて仕方なかったのだ

ぬいぐるみには名前まで付けていた

嫌だけど敢えてみんな意見も取り入れてそうしていると主張していた

「お前が強姦されないのには理由がある」

おれはそう指摘した

詩人は言った

そもそも強姦なんてされたくない

なるほどな

おれは深く頷いた

もちろんその瞬間にだって電柱は無言で直立している


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