オスプレイ


ブスが絶叫した

どうやらおれにレイプされると勘違いしたらしい

おい

それは勘違いだぞ

おれはブスを見つめた

「んめてええっ」

泣き喚くブス

おれはまだ何もしていない

それどころか永遠に何もする気は無い

パトカーがやって来た

「どうかしましたか!」

早速、警官が車内から飛び出して来た

ここに至っておれは完全に呆れた

ふうと溜息をついた

ブスは警官にすがりつくよう訴えた

おれの視線がまるで獣のように自らの陰部に突き刺さってくるのだと

「………なるほど」

そう言って警官はブスを射殺した

おれはその若い警官とがっちり握手を交わし合った

まるで昔からの親友のように

警官は言った

「来てみてすぐにわかったんですよ、このブスの言っていることは頓珍漢で完全に頭がおかしいなって………こんな奴の言っていることに耳を傾ける必要なんてこれっぽっちも無いんだなって」

実に物分かりの良い警官だった

人は見かけが九割

おれはにっこりと微笑んでその主張に賛同した

アスファルトの上に寝っ転がっているブス

『死んでもブス!』

そんな言葉が脳をよぎった

今にも飛び上がっておれたちに噛みついてきそうな形相

「ブスの血液ってなんで赤いんだろう………」

おれの純粋さから発せられた疑問を警官は手元のメモ帳に書き記した


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