寿司


寿司が喋った

わたしの寿司だ

いやどうかな

正確には地球の寿司かもしれない

驕り高ぶるのは良くない

寿司が喋った

何かを

わたしは深く息を吸い込んだ

わかっている

わたしにはわかっている

寿司

そいつはただの切り身だ

それ以上でもそれ以下でもない

そいつが白米の上に乗っかっているだけだ

だから喋っているのは

喋っていると思い込んでいるわたしがいるだけなのだ

そこまではわかった

わたしを騙そうとしたってそうはいかない

寿司屋を出た

お腹が減ったのでクリームパンを食べることにした

クリームパンなら喋る危険性が無いから安心だ

元々、生きていない

それはなんて素晴らしいことなのだろう


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る