猿の楽園


その猿はバナナを食べたかった

だからバナナをあげると喜んだ

なんて単純な方程式が成立するのだろう

わたしたちは猿にバナナを与え続けた

すると猿はやがて調子に乗り始めた

全自動でバナナというものが与えられるに違いないという誤った認識を抱き始めた

佇むその表情が物語っている

「へいっ、おれっちにそのバナナを与えな!」

わたしはなんだか面倒くさくなってきて猿の頭を撃ち抜いた

ごろんと寝転がった猿を仲間の猿たちが不思議そうに眺めていた

(おい………猿が死んだぞ)

そのようなことを思っているのかもしれなかった

今のところ猿はまだ射殺し放題だった

やがて規制が始まるだろう

それは歴史が証明している

だからわたしたちは今のうちに猿の絶対数を減らしておくべきなのだ

未来の人たちにはクーポン券が配られ割引価格で猿を撃ち抜くことが可能だろう




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