サイケデリックマチコ


「ありがとうございます」

その人はそう言って頭を下げた

「刺す」

そして顔を上げると同時にわたしに刃物を振りかざしてきたのだ

最近の若者は何を考えているのかわからない

コンビニエンスストアに客としてやって来たわたしに茶髪の店員はそのような対応をしたのだ

「刺されては困る何故なら出欠多量になるから出欠多量になるとどうして困るのかと言うと殆どの場合、死ぬから死ぬとその先に何が用意されているのかわからなくて天国があるのかもしれないけどもしかしたら地獄かもしれないので怖いから死にたくはない」

そのようなことを呟くとわたしは突き出された刃物を奪い取って逆に相手の腹部にそれを収納してみた

収納名人

それがわたしの異名だ

かつてはワイドショーで特集が組まれたこともあった

「やるわよ」

カメラに向かってそう呟きあの頃の自分には怖いものなんて無かった

その気になればゾウさんを筆箱に収納することも可能だと豪語した

コンビニエンスストアの若者は出血多量で死んだ

わたし?

わたしはまだ生きている

監獄に収納されて


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