王様と側近


時代遅れの服を着た王様は

誰にもそれを格好悪いとは言わせなかった

「かっこわる………」

思わずそう呟いた少年を

側近の兵士を使って射殺させた

それを止めようとする母親を地べたに押さえつけ

呆然としたままの少年の額をいとも容易く撃ち抜いたのだった

だがその側近の兵士だって

王様の服を格好良いと思っているわけではなかった

ただ給料を貰っているから口にしないだけ

側近の兵士は酒場でこう息巻いた

「おれはさあ、常々こう思ってるわけよ、給料が貰えるなら例えフルチンでアンドロメダ星雲を飛び回ってもいいってね!」

そしてビールをおかわりした

「給料給料給料、もいっちょ給料!」

その目は遥か遠くを見つめていた

そしてわたしは詩人だから詩を書いていた

はっきり言ってこの世界は頭のおかしい人間の比率がやばすぎると思う


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